MCA閉塞(ナイロン糸、虚血-再灌流)
脳梗塞を含む脳卒中による死因はがん、心疾患に次いで上位に位置しており、年間多くの方が亡くなられています。血栓溶解剤の登場や手術デバイスの発展により、発症直後の生存率は大きく向上しましたが、手術後に障害が残るケースも少なくなく、新たな治療薬の登場が望まれます。
日精バイリス株式会社では中大脳動脈(MCA)を虚血(1hr)-再灌流する事で脳梗塞を惹起するマウス及びラットのモデルを用いて薬効評価試験を実施しています。弊社が採用しているモデル作製法は外頚動脈から挿入したナイロン糸を中大脳動脈まで誘導し血流を遮断する方法で、ナイロン糸抜去後は内頸動脈から血液が中大脳動脈へ供給される点が特徴です。評価化合物の目的に応じて試験構成が異なります。急性期における梗塞体積や浮腫を評価する場合は、摘出脳を用いての画像解析や病理評価でこれらを解析する試験構成になりますが、細胞製剤など手術後の運動機能や認知記憶などの改善が期待される評価化合物については、モデル作製後の神経症状観察、ローターロッドテスト(運動協調性)、歩行解析、シリンダーテスト、オープンフィールドテストなど行動評価を中心に薬効評価を行います。またトレッドミルによる強制走行や回転かご付きケージでの飼育により、リハビリと評価化合物の併用効果を評価する事も対応致します。
モデル作製
イソフルラン吸入麻酔下にて頸部を小切開し、右外頸動脈よりナイロン糸を中大脳動脈分岐まで誘導します。中大脳動脈到達後、そのままナイロン糸を保持し、60分後に抜去し血流を再開通させます。
ラットを用いる場合は行動評価の実施を考慮しWistar系を用います。マウスについてはC57BL系を用います。
運動機能の評価
一定速度で回転する回転棒上に動物を乗せて、落下までの時間を評価します。病態動物は運動機能が低下するため、落下するまでの時間が早くなります。
神経症状のスコアリング
脳梗塞発症後は一般症状に変化が現れます。Petulloらの方法(Life Science 1999; 64: 1099-1108)に準じて、モデル作製後の神経症状スコアを評価します。時間の経過に比例して正常値に近づきますが、寛解することはありません。
オープンフィールドテスト
観察箱〔70 cm(W)×70 cm(D)×40 cm(H)、の中央に動物を置き、5分間自由行動させ、行動を評価します。
Day4の移動距離低下及び静止時間増加は術後侵襲、麻痺と考えられます。Day26の移動距離増加及び、静止時間低下は病態による多動と探索記憶低下を反映しているものと考えられます。