嘔吐試験

非臨床での嘔吐の評価にはイヌやフェレットが多く用いられます。特にフェレットは嘔吐に対する習慣性が無く、胴長であるため細かな観察が行い易いなどのメリットがあります。日精バイリス株式会社では塩酸モルヒネやシスプラチンなどを投与し惹起される嘔吐に対して被験物質の抗嘔吐作用を評価する制吐試験と、被験物質が嘔吐を誘発する可能性を評価する催吐試験を実施しております。制吐試験のシスプラチン誘発嘔吐モデルについては惹起用量をコントロールする事で急性期嘔吐と遅発性嘔吐、それぞれに対する薬効評価を行う事が可能です。催吐試験については確認された嘔吐を既存の制吐剤で抑制する事が可能かを評価するケースもあります。
評価は目視または撮影した動画からRetching(腹部のリズミカルな収縮運動)とVomiting(嘔吐物を排泄する嘔吐行為もしくはその類似行動)をカウントし集計します。

塩酸モルヒネ投与による嘔吐反応
塩酸モルヒネ投与時の嘔吐は反応性が非常に早くすぐに消失します。休薬期間を置く事で繰り返し評価を行うことができますので抗嘔吐薬のスクリーニング評価に用いられるケースも多いです。

シスプラチン投与による嘔吐反応
抗がん剤として広く利用されているシスプラチンは嘔吐の副作用を持つことで知られています。ヒトにおいては投与後すぐに発現する急性嘔吐だけでなく、翌日以降に発現する遅延性嘔吐があります。フェレットにおいてもヒトと同様に二相性嘔吐症状を検出することができ、それに対する抗嘔吐薬の薬効評価を行うことができます。